きっと、誰にも必要とされなかったか、自分を見てもらえなかったか…。
「仲間を作れ」
「…仲間?」
「ああ。お前には、ソイツがいるだろ?」
そう言って俺は金髪(勇汰)の後ろにいる茶髪(恭弥)を指した。
「コイツとは長いんだろ?」
「…ああ。幼なじみ…」
「その信頼出来る関係を他にも作れ。今、周りにそんな奴いねえかもしれない。だが、いずれは必ず現れる」
「……ホントかよ?ホントに現れんのかよ、そんな奴」
金髪は消え入りそうな声で言った。
……何が、コイツをここまで追い詰めたんだろうか。
「ああ。絶対現れる。でもな?それにはお前が心を開かなきゃ駄目だ。こっちから近づいていけば、だんだん打ち解ける」
「絶対…」
俺の言葉を繰り返す金髪。
そんな姿を見て俺は笑みが零れた。
「フッ…ああ、そうだ。俺もな、誰も信じられなかった」
「優…」
瑠羽が眉を下げながら俺の名を呼んだ。
おいおい、やめてくれよ…そんな顔。
「でも、俺は居場所を見つけた。だからお前も大丈夫だ。瑠羽、行くぞ」
「ああ、」
「待ってくれ!」
その場を去ろうとした俺達を引き止めた金髪。
「なんだ?」
「お前ら…何者?」
「…何者、か。人間だ。あえて言うなら、蝶華8代目、総長」
そう言って、俺達はその場を去った。
後ろの「暴…蝶…」呟きを耳に入れながら。
