「まあ、確かに関係ねえけど」
「でもお前、今俺らが止めなかったら……まだ殴ってただろ」
瑠羽の言葉に続けてそう言えば、ソイツは少しだけ動揺した。
「お前ら……何の為に喧嘩やってんだよ」
「……は?」
突然の俺の質問に、二人は言葉に詰まった。
「だから、何の為にこんなことをしてんだよって聞いてんだ。どうせお前ら、単なる暇つぶしとか、ストレスでやってんだろうけどな」
「「……」」
俺の言葉は図星だったみたいで、二人は顔をしかめた。
やっぱり、ただの無意味な喧嘩、か。
俺も昔はそうだった。
周りに何も理解してもらえない。俺を“九条優里”として見てもらえない。
俺は存在してて意味はあるのか?
生きていて、何かあるのか?
何も答えは出なかった。
そんな日常のストレスを拳に、喧嘩、喧嘩、喧嘩の毎夜。
そのおかげで、かなり強くなった。
でも、喧嘩で得られたのは───虚しさだけだった。
「こんな無意味なことして何になんだよ。残るのなんて、虚しさだけじゃねえか」
「…じゃあ、どうすればいいんだよ!」
その時、ずっと黙っていた奴が初めて口を開いた。
悲痛に、叫んだ。
……やはり、コイツらも、俺と同じだ。
