サラシを巻いて、胸をなくす。
スーツを着て髪は黒のウィッグ。
勿論男装。女だとナメられるから。
青のカラコンをして、完成。
「……さて、」
「優!」
「…爽?」
「俺も行く」
「でも…」
「もう哲さんに了承もらった!」
「……分かった」
爽とは、本名成宮爽。若頭補佐で、幼なじみ。兄貴てき存在。
そしてあたしと爽は仕事───太田組を潰しに出た。
太田組は最低な組で、薬、レイプ…法に触れることをバンバンやってる。
『こないだ、ウチの奴が一人やられた。だから、もう黙ってられねえ』
九条組では組員全員が家族。
その家族がやられたんだ、黙ってられるわけがない。
だからあたしは強く頷いた。
太田組……許せねえ…っ。
絶対潰してやるよ…。
「優…殺気が半端ねえぞ」
「あ?…うわっマジか!」
「まあ太田組に対してだろーけど。確かに俺も許せねえ。ただし、ここでは控えろよ?」
「ご、ごめん…」
どうやらいつの間にか凄い量の殺気が出ていたみたいだ。
しかしその状況でケロッとしている爽。
何者だよ。
「着いた…」
「んじゃ、お邪魔しますかっ」
言葉では軽く聞こえるが、その言葉と同時に爽の顔つきも“若頭補佐”に変わった。
「誰だっ!」
ちっ、やっぱ気づかれたか。
組員らしき男達があたし達の行く手を阻む。こりゃー殺るしかねえな。
クソめんどくせえ。
「おらぁああ」
「どいてくんねえとさ…」
────バキッ
「痛い目見るぜっ?」
───ドガッ
