今日は少し早く着きすぎたかな。
そう思いながら、
朝のHR前と昼休み、放課後と毎日行くのが習慣となっているその場所へと向かった。
穏やかな風とまぶしい青空をよく知るそこは、僕がこの学園で唯一落ち着ける場所。
ここは本校舎の西側にある温室の裏の森を抜けた所にある。
森は学園の敷地内をぐるりと覆っていて、割と深くなっているため、多分生徒の誰もこの場所を知らない。
僕が入学当初、ひとりになれる場所を探して学園内を歩き回って見つけた場所だ。
見つけたときは驚いた。
まさか森を抜けた所に
小さな小屋があるだなんて。
中には電気や水道も通っていたし、机や椅子、暖炉もあった。
使われていない真っ白なキャンバスがあったから、きっとアトリエだったのだろうと推測した。
しかし長い間使われていなかったらしく、中はホコリだらけだった。
一目でここを気に入った僕は、使えるように綺麗に掃除をした。
鍵は鉢植えの下に隠されていたから遠慮なく拝借させてもらった。
なんてベタなとこに隠すんだよ。
しかもご丁寧に合い鍵まで。
ガチャリ。
鍵を開けてドアノブを回した。
―――が、鍵がかかっている。
…どういうことだ?
昨日もちゃんと鍵をかけたはず。
とすると…
鍵が開いていたということになる。
心臓が少し不規則に震えるのを感じた。
たぶん…
中に誰ががいる。
