まぶしい朝日がカーテンの隙間から僕を照らす。


目覚ましを止めてベッドからゆっくり起き上がり、両手を上げて一つ、背伸びをする。




うん。
なかなかいい朝だ。









クローゼットを開け、すでに着始めて1年たった制服に袖を通す。



初めはカッチリしていて着られている方だった僕も、今では逆転している。








寝癖を綺麗に直し、朝食を食べ、身支度をして玄関を出る。












―――――と、



「やべ、忘れるとこだった。」







僕があの学園で生きていくためになくてはならない相棒。


それがコイツだ。



もし、もし忘れたら…。



背筋が少しひやりとする。

危ない危ない。







絶対にしてはいけない失態を未遂に終わらせたことに胸をなで下ろしながら、

僕は相棒――いわゆるメガネをかけた。





それも一般的に
“ダサい”部類に入るであろうデザイン。



そのダサさは僕自身が一番わかってる。






当たり前。
むしろそうじゃないとダメだから。












もう一度頭の中で忘れ物がないか確認し、今度こそ家を出る。








今日もいつも通り静かな1日が過ぎることを信じて。














―――が。



残念ながら、
この日が僕の意に反した1日になることを、この時の僕はまだ知らない。