なんとも大儀い事ながら私は腹が立つと泣きそうになる。
『彼方の馬鹿タレ!!あほんだら!!馬鹿馬鹿馬鹿野郎!!これ涙じゃないんだからな!!今までのも涙じゃないんだからな!!ただ、目が痛くて炭酸水が出てるだけだからな!!』
自分で何を言ったかわからない程勢いに任せて喋った。
すると不意に彼方がパーカーのフードを私に被せた。
そして少し乱暴だけど、優しく私の涙を拭った。
「特別にこの俺様のバイクに乗せてやるよ。一生感謝しろよ、炭酸水」
彼方が偉そうに笑い、バイクに乗れと合図する。それに従って後ろに乗り彼方に掴まった。
普通なら掴まらなくても慣れてるから平気なんだけど、今は誰にもこの顔を見せたくない。
私が掴まったと同時にバイクが走り出した。
冷たい風が頬を掠めて涙を冷やす。
何泣いてんだ私。
あの日泣かないって決めたのに。泣いたらいけないのに…。

