「ちょっと付き合えよ。どうせ暇だろ。拒否権はねぇからな」
私が反論する間もないくらいすぐに、私の手をひいて歩きだした。
何だろ、何だかこれ…。
またポロリ、涙が零れた。
あぁ。思い出した。あの夢と同じだ。夢の中のあの手は彼方だったんだ。あの優しい手は…。
このままじゃ駄目だ。完全に泣いてしまう。
『か、なた、離して、よ』
「離さねぇよ」
きっぱり言い切られて何も言えない。ただ涙を流す事しかできない。
泣くな。泣くなっつってんだろーが。
思いとは裏腹に零れる涙に腹が立って強く唇を噛み締める。
「んなに噛んだら唇切れんだろーが。唇血だらけとかお前ホラー映画に出演するつもりかよ」
顔を上げるとバイクの所に来ていた。いつの間に…。
彼方の顔を見ると何故か泣いてしまいそうでまた俯いた。そしてまた涙が零れた。涙が零れる度に閉じてた記憶が蘇る。
《オマエノ…》
《れんあ…》
《気持ち悪い…》
嫌、思い出させないで。
瞬間、バサリ。
何かが私を包んだ。視界が少し暗くなる。

