その視線に耐えきれず、ふいっと目を左に逸らす。すると学校のいろんな人が私達を見ていて、その視線が痛くて思わず俯いた。俯くべきじゃなかった。いい天気だって上を向けば良かった。
一粒の雫がポロリ、落ちた。
『………え?』
何が何だかわからなかった。今、泣いた?ゆっくりと目元を触る。冷たく濡れていた。
一瞬、いや、かなりパニクった。
駄目。泣くな。
呼吸の仕方を忘れてしまう程パニクっていて危うく死にかけた。
落ち着け。周りには人がいる。彼方もいる。絶対ばれる訳にはいかない。桜義の名に懸けて!!!
涙が零れないように、思い出さないように、歩きだした。
『私、帰るから。バイバイ彼方』
彼方の横を通り過ぎようとした。ばれないように、自分を隠して。
―――パシッ
『…離して』
彼方が不意に私の腕を掴んだ。
離してよ、お願いだから。今は駄目なんだ。今は…キツイ。

