王龍×姫龍



校門に向かって歩いていると門の方がかなり騒がしい。
何だ何の騒ぎだ??


少~し、ほんの少~しだけ気になるけど、興味ないですよ的な顔で群衆を通り過ぎようとした、が、そこにいた人物を目に捕えて思わず足を止める。目に溜まった雫が何故か溢れそうになった。


何で、ここいんの。


真昼の太陽に照らされて眩しく光る金髪、きらきら輝くピアス、ワックスで念入りに整えたようなヘアスタイル。


その人は私に気付くと歩み寄って来て意地が悪そうに、言った。

「こんなとこに紅い瞳のチビが落ちてんじゃねーか」

『チビじゃない。落ちてない。彼方、何でここいんの』

「歩いてたら着いたんだよ」

嘘だろおい。
歩いてて何故よりによってここに着く。それにあれお前のバイクだろ。

学校から少し離れた場所に彼方のバイクが止めてあった。


『で、何でここき「何でカラコンしてねぇんだよ」

『遮るなよ』

やばい、胡麻化さないと。違う、胡麻じゃなかった。ごまかさないと。話を逸らさないと。


なのに彼方はさっきまでの意地の悪い笑みではなく真剣で鋭く私を見つめていた。