それを見逃さなかったのか
『っわ!』
―ボスッ
足を引っ掛けられて華麗な背負い投げでソファに投げ飛ばされた。なんて乱暴な…。
『い、いったぁ』
「何芝居うってんだ。今噛んだろ。塚お前いつカラコン外したんだよ」
「そういえば蓮愛ちゃん今日迎えに行った時からしてなかったよね?」
和樹…余計な事を…。
どうしよう、なんて言おう。
『今日、目の調子悪くて、校門出たらすぐ外した』
我ながらniceな嘘。流石nice桜義。
「へーそーかよ」
お前が聞いたくせに何だよ、その興味ないですよ的な返事は。お前は興味ないですよおじさんか。
今はどうしても瞳の事になると今日の事を思い出してしまう。
≪気持ち悪い≫
わかってる。周りから見ると紅い瞳が変だって事も、それが紅い瞳を持って生まれてきた自分のせいである事も。全部、私の…。
『っっ!』
≪オマエノセイダ≫
いけない、思い出したらいけない。ここで思い出したら駄目だ。
『っ…っふぅ』
荒くなりつつある呼吸をなんとか抑える。ソファに顔を埋めてるからばれてはないはず。
彼方、投げ飛ばしてくれてありがとう。

