暁はクスッと笑う。

「それが自分の為でも自己満足でも、みんな自分を高めようと努力しているからだよ。誰かが救われる訳じゃない、誰かの命を助けられる訳じゃない…だけどその努力は、絶対に努力した本人を一段高みに押し上げるだろ?更なる向上の為に、みんな努力しているんだ。丹下君、君もね…立派な事だと思うよ?」

「…立派な事…なのか?…そんな風に考えた事ねぇから…」

戸惑う龍太郎に。

「君がやってる事は、誰にでも出来る事じゃない。夢があっても、目標があっても、楽な方に逃げる人なんて幾らでもいるんだから」

暁は龍太郎の肩をポンと叩く。