天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅥ

龍娘が拓斗に与えたのは、実にごく普通の腕立て伏せ、腹筋、背筋、ランニングなど。

恐らくは天神学園の空手部でも…いや、どこの運動部でも最初にやらされるであろう筋力トレーニングだ。

「ただの筋力トレーニングと言うなかれ。武道武術は、精神論を口にしても相手の肉体を破壊する事を前提とするものだ。危険は付き纏う。そのような危険な技を習得したり受けたりする為には、やはり鍛錬した肉体が必要なのだ。ただのスポーツ以上に鍛え抜いた体がな」

龍娘の説明に、神妙な顔をして頷く拓斗。

彼は龍太郎と違い、修行内容に決して文句を言わない。

素直に龍娘の指示に従い、どんな地味な稽古でも根気よく続ける。

そんな彼を見ながら、龍娘は思うのだ。

(ああいう真面目な好青年の老師がよかったなぁ…丹下、いらね)