朝から騒々しい兄の声援を背に、拓斗は走り出す。

龍太郎は毎朝この時間に起きて、ランニングがてら10キロほど走ってから学園で稽古をするのだそうだ。

老師である龍娘よりも早く学園に来るという張り切りぶり。

お陰で寝不足な龍娘は、最近指導もやり過ぎて過激になっていると評判だ。

「凄いなぁ龍太郎君は…努力家だなぁ」

白い息を吐き出しながら、小走りに走る拓斗。

龍太郎は裸足のままアスファルトを走って登校するらしいが、そんな事をしたら足の裏が傷だらけになってしまうので、拓斗はスニーカーを履いてのランニングだ。