顔を洗い、歯を磨き、こっそりと玄関へ。

制服と授業用具一式を入れた鞄を背負い、ドアを開けようとした所で。

「ララル~♪拓斗は朝から寒稽古~♪我が弟ながら勇ましきかな~♪」

「うはあっ?」

バイオリンの調べと共に現れた兄に腰を抜かしそうになる。

「に、兄さん!何やってるのこんな朝早くからっ?」

「ルルル~♪修行に向かう愛しい弟の激励に~♪」

しっかりといつもの貴族服を着ている。

「わざわざ起きて着替えたのっ?」

「いや~♪そのまま寝た~♪ルララ~♪」

貴族服に皺が入っていないか心配です。