午前5時。

「ふぁあぁあ…」

まだ夜も明けきらぬ早朝、橘 拓斗は起き出して寝惚け眼を擦る。

枕元には、真新しい空手着。

パジャマを脱いでその空手着に袖を通す。

最近ようやく結び方を覚えた白帯を、腰の所で締める。

本当は黒帯の方がかっこよくて強そうなのだが、まだ空手を始めたばかりの拓斗が有段者の証である黒帯を締められる筈もない。

今は我慢だ。