それでも。

この世界の天神学園には、不穏な影など微塵も感じられなくて。

全ての者が等しく幸せになる権利が与えられていて。

それは別の世界からやって来たカリナとて例外ではなくて。

「…………フン」

踵を返し、カリナは屋上を降りていく。

渇望した、平和な学園のあるべき姿。

手を伸ばせばそこにある、夢にまで見た当たり前の日常が、眼下に広がっている。