「龍太郎君!」

慌てて駆け寄る拓斗。

完全に気絶しているらしく、龍太郎はピクリとも動かない。

「すまん…大人気なく『浸透勁』なんて使っちまった…」

勝利しながらも詫びる建布都。

本来なら、ここまでする気はなかった。

龍太郎を見下している訳ではないが、それでももう少し余裕を持って倒す気でいたのだ。

にもかかわらず、建布都は逆にダウン寸前まで追い詰められ、あろう事か本気の一端まで引き出される羽目になってしまった。