まだ咲が小学生の時に、普通では考えられない程の高額なお金を残して、謎の行方不明を遂げたのだ。 その数年後、今度は咲の兄が行方不明になった。 両親のこともあって、近所の人から咲の家は気味悪がられた。 両親がいなくなって以来、咲にとって唯一の家族であり、なくてはならない存在だった兄の失踪は、咲の心に大きな影を落とした。 幼い咲の中で、兄はすでに「兄妹」以上の人物になっていたのだ。 咲は泣かなかったが、そんな咲を見て香奈が泣きだしたほどだ。 それから咲は顔に表情を出さなくなった。