「あ、変なこと考えてる」
「か、考えてないっ!」
「なぁんだ。……あ、手ぇ冷たいじゃん」
オレはさえの両手を、自分の両手で包む。
「……ふみの手も、冷たいよ」
さえが一瞬、笑った気がした。
スルッと、さえの手がオレの手の中からなくなる。
何か、手持ちぶさたな感じで、さえの温もりに触れたがっている自分に気付く。
プレゼントの手袋をさえは手にとって、オレの手にはめる。
「良かった。ぴったり」
あ、やっと見れた。
さえの笑顔。
オレも自然に笑顔になる。
「……ねぇ、ふみ。」
「うん」
「…好きだよ?昨日よりももっと、ふみのことが好きになった」
さえの目がオレの目の奥を見つめる。
初めてさえの心の中が見えた気がする。
好きな人のことを知るのって、嬉しいことなんだな。
改めて実感する。
「…やっと聞けた。気付いてた?付き合い始めてから、さえが気持ちを1回も言ってくれてなかったこと」
「………うぅ…だってそれは…」
気まずそうな表情をする、さえ。

