「あ、チョコもうまそう。後で一緒に食べよ」
さえが首を横に振る。
「…ふみだけで食べて。」
「ん?毒入り、とか?」
「そっそんなの入れてないし!…ふみに食べてほしくて作ったから」
かわいいことを言ってくれる…。
ヤバいって、これ。
「朝、のも…ちゃんとふみが食べなきゃ。私なんかが食べる権利ない」
「朝の…?あー」
もしかして怒ってたのって、自分のチョコレートと重ねて見てただけ?
自分だったら、好きな人だけに食べてもらいたい、って?
……さえ、どこまでかわいいんだよ。
「勘違いしてるみたいだけど、あれ、超が100個つくくらいの義理だよ?あいつ、彼氏いるし。それで怒ってたんだ?」
「………」
都合悪くなると黙るんだ?
今までも…そうだったのかな。
でも、まだ聞いてないことはたくさんあるし。
言わせたい言葉もあるから、黙秘権は使わせない。

