「・・・殺すつもりで購入した」



「・・・」



「でも、逆に殺されかけた・・・」



郁弥は苦笑いを浮かべて、ナイフを手にした。



「・・・でも、このままヤツに殺されるかと思ったら…お前の顔が脳裏に浮かんで…。死にたくないと思った…」



郁弥は私の手を握って来た。



「もう一度、俺と付き合ってくれるか?珠希」


「私…郁弥とまだ、別れてないから・・・」


「珠…希…」



甘い声で郁弥は私の名前を呼ぶ。


心地いい痺れが心を貫く。



「ありがとうー」



私の手を強く握り、傷ついた郁弥は再び、眠りに落ちた。


安堵に満ちた彼の寝顔は…小さな子供みたいに可愛かった。