郁弥は謝って、私を座ったままギュッと抱き締める。



「俺…お前を抱きたいキモチはあるんだ。でも、ホンキで抱いたコトないから。
怖い…。お前を抱けば…きっと絶対…俺…お前に溺れそうな気がするから」



溺れる?


人を溺れさせておいて、よく言うよー。



私の世界は郁弥カラーで染まってるんだから。



私も郁弥の背中に手を這わせて、抱き締めた。



「浮気はしてないし、ホストの仕事も辞めてるから…安心して」


私は郁弥の洗髪した乾きたての髪に触れた。
整髪料も何も付けていない郁弥の髪は柔らかい。


身体の関係はまだだけど、


心はもう…一つに重なり合っていた。