「一晩、泊めてやれば?サクヤ」


「・・・」



佐野さんは俺の副業を知っている。

金を出さなきゃキスもHもしないってコト。


この女の身の安全は佐野さんのお墨付き。


俺は渋々、眠り込んだ女をおぶって、佐野さんの呼んだタクシーで自宅までお持ち帰りした。



カッコはリクルートスーツで、就活中の学生のようだ。

素性くらい知っておこうと彼女の鞄を無断で物色。


鞄から出て来たのは履歴書。


25歳…名前は海塚珠希…。
この間、吸収合併されて社名の変わった取引先の社員。
人員整理されて、かなり数、リストラされたって聞いた。
こいつもその一人か…。
可哀想に。


俺は履歴書を元の封筒に戻して、鞄に仕舞いこんだ。