「今日は暖かい小春日和でしょう」
TVの中の、いつもと同じお天気お姉さんはそう言った。
ほんとなのか・・・。
私は、箸をお椀にのせベランダまで駆け足でいった。
窓を開けた瞬間、さわさわと春風が部屋に入ってきた。
冬みたいに寒くないし、秋みたいに涼しくない。
なんだか、微妙な風だけど。
でも、どこか懐かしいくて心が暖まるような感じ。
『ほんまやわ』
あ・・・、また関西弁。
友達が関西人だから、ついうつってしまった。
これ、直したんだけどなかなか直らない。
癖・・・なのかな。

そうこうしていると、お母さんが洗面所から出てきた。
朝からパックか。
今日は、昼から仕事なため午前中は時間セレブ。
つまり、暇なのだ。
「何してんの、あんた」
『いや、TVで今日暖かいって言ってたから』
「まっ、紫外線きっと高いわね。もう嫌だわ~」
そっちの問題か。
時間セレブは、肌のことしか興味がないんだな。
重力には逆らえないってのに。

私は、なんだか馬鹿馬鹿しくなり
お椀の上の箸を取った。