だとしたら、リョクには僕の気持ちなんてきっと理解できないんだと思うな。


担任の先生にすら忘れられているのが普通のような僕みたいな存在が、普段ほとんど接することのない理事長先生に覚えてもらえているなんて、それだけで感激モノなんだって事。


そんな事を、大したことじゃないとか、好かれて迷惑だとか、思えるわけなんてないよ。


名前を覚えてもらってるだけで嬉しいのに。


………だけど。


きっと、リョクにはそんな気持ち、理解してはもらえないよね。


だから僕は言いかけていた言葉を飲み込んでしまった。