そんな風に言うリョクの口調は穏やかだけど、力強くて。


「俺は昔さ、小学校に入んなきゃいけない年になった時にさ、それまでずっと山の中で暮らしていたのを急にやめて、山に近い場所に借りた家で親父と住むようになったんだよな。
それまでは、男ばっかりとはいえ、いつだって何人かが一緒だったのに、急にふたりきり。
でもって、親父は仕事があるから、しょっちゅう家を空けるだろ?
まぁ、1人でも生活する事は出来てたんだけどな。
まわりの奴らはそうは思ってくれなかったんだ。」


「え?
どうして?」