「ミキちゃーん。
よーい、いいかなー?」


こっちを向いて訊ねる小林さんに、僕は頷いて答えた。


「んじゃ、スタートッ!」


小林さんの監督がかけた合図の声で、僕は机を教室の後ろへと寄せて作った空間に歩み出た。


『私は白雪姫。
新しくお越しになったお母様に、この美しさをうとまれて、お城を追い出された可哀想なお姫さまなの。』


ものすごく、ものすごーく恥ずかしいのを我慢しながら台詞を言う。


どうでもいいけど、はしょりすぎの冒頭だなぁ。


いきなり名乗って始まるのってどうなんだろう。