リョクの声だけで、変に落ち着かない気持ちになるなんて、僕ってば、どうしちゃったんだろう。


やだな。


こんな事だと、劇の練習始まっちゃったら、困っちゃうかも。


なんて。


そんな風に思ってるくせに。


リョクの大きな掌に頭を撫でられる感覚がとっても気持ちよくて。


僕はもうしばらくリョクの腕の中に閉じ込められたままでいた。


だって。


明日から始まる大変そうな日々の前に、もう少しだけ。


その時の僕は、この時間を楽しんでいたかったんだ。