花は野にあるように

リョクはそこで言葉を切ると、ちょっと遠くを見るような表情をした。


「なんか、すっげえ前のような気がするけど、ほんの少し前の事なんだよな。
俺達のクラスはロミオとジュリエットを上演することになった事があってさ、今日の委員長と言うことは一緒だよ。
『ロミオはグリに決まったから』ってな。
そう言って、俺の意見は無視で押し付けられたんだ。」


肩をすくめて見せるリョクに、僕はわからなかった言葉を聞いてみる。


「『グリ』って、誰?
リョクの事?」


僕のその問いに、リョクは頷いて答えた。