「な、なななななにっ!」


その嵐を誤魔化すように、僕はリョクの手を逃れて声を上げた。


「え、あ、いや、照り焼きの………。」


僕の激しい反応に驚いたようなリョクが、なんだか毒気を抜かれたような口調で僕の顔を指さす。


さっき食べた照り焼きのタレが口の端に付いていたのを舐められたんだと気が付いた僕は、普段の僕ならしないような自分の過剰な反応もあって、真っ赤になっているのに違いない顔を伏せてリョクから隠した。