「誉めすぎだよ。」


なんだか照れてしまった僕が視線を逸らせてそう言うと、ふたりで腰掛けていたベンチの端に丁寧に蓋をしたお弁当箱を置いたリョクの手が伸びてきて、僕の頬に触れた。


「ちっとも、大げさなもんか。」


と、言いながらリョクの顔が近寄ってきて。


熱いリョクの舌が、僕の口の端をベロリと舐めていった。


「………っ!」


それに驚くのと。


背筋をぞくりと走った、僕が今まで知らなかった感覚が沸き上がるのと。


同時に生まれたふたつの嵐のような感覚が、僕の中を駆け抜けて行った。