花は野にあるように

けどリョクは。


急に不機嫌な表情を浮かべた。


「えと。
リ、リョク?」


訳がわからずに、首をかしげて尋ねようとした僕の顔が、突然リョクの大きな手で左右から挟み込むようにつかまれる。


ビックリした僕は抵抗しようとして、自分の両手にはめている軍手が土まみれな事を思い出した。


あ、駄目だよね。


これで触っちゃ、リョクの制服が土まみれになっちゃうよ。


「………して。」


そんなことを考えていたものだから、リョクが言った言葉を僕は聞き逃した。