だけど、授業中にもずっとノートに書いた手紙を回してきたり、トイレにまで付いてきてずっと謝り続けているリョクに、僕はいい加減、根負けし始めていた。


「………もういいよ、リョク。」


花壇に遅効性の肥料を撒いていた手を止めて、僕は言った。


「いいって、もう俺からは謝罪の言葉も聞きたくないってことか?」


そんな情けない声をあげるリョクを、僕は軍手についている土を払ってから振り返る。


「そうじゃなくって。
もう謝らなくったって、僕は怒っていないよって事。」