心の中でリョクの名前を呼ぶ。


話す内容についても、ちゃんと考えてきたはずなのに、僕はすっかり舞い上がってしまっていた。


「あ、あ、あのっ!
ぼ、僕、苑生 美樹って言いますっ!
今日は………。」


とりあえず名乗って、用件をとりとめがなくてもいいや、と話し始めようとした僕の顔を見て、理事長先生の片眉が上がった。


「あら?
あなた、緑風さんとお付き合いしている方だったわね?
今日は個人的にご用かしら?」


片眉だけを上げたまま、理事長先生は僕に問いかけた。