「俺のうちのご近所に悪い噂が立つような会話を、でかい声で開け放したままでするなよ。」


リョクのお父さんが、ボソリボソリと僕達に言う。


「んん?
悪い噂?
んなもん立つわけないじゃん?
大体、此処は今は俺んちじゃん。
親父はオフクロのトコで泊まれよ。
あっちなら、部屋は余ってるんだし。」


リョクが眉を寄せて言う。


でも、リョクのお父さんは首を左右に振った。


「お前がこっちにいるなら、俺もこっちへ泊まる。」


それに、肩をすくめただけで反応したリョクは、僕に視線を向けた。