花は野にあるように

「嫌なんだからね………?」


子供が駄々をこねるみたいに、ヤダの言葉ばかりを繰り返す僕の顔を包み込むように、リョクの大きな手が両側から当てられる。


「……………ゴメン。
本当にゴメン。
俺が全面的に悪いから………だから、顔を上げて?」


僕の大好きな低い声が柔らかく響いて、僕はゆるゆると顔を上げた。


「こんなに泣かせちゃって、ゴメン。」


そう言ったリョクの唇が、涙でにじんでいる僕の視界に大きく映る。


そうっと降りてきたその熱い唇は、僕の目元にキスを落として。


そして、涙を舐めとっていった。