花は野にあるように

「ミ、ミキ………?
泣いて………る?」


戸惑ったようなリョクの声が、頭の上から聞こえる。


泣いてなんかいないって、返せれば良かったんだけど。


僕の頬を伝って流れ落ちた涙は、ポタポタと玄関の床の上に落ちて、灰色のコンクリートを濃い色へと変えた。


「ねぇ。
どうして、話してくれなかったの?
僕が、頼りないから?
弱くて、泣き虫で、情けないから?
話してくれても、何の役にも立たなかったとは思うけど、僕だけこんな風に蚊帳の外だなんて。
ヤダ。」


話しながらも、僕の涙は止まらなくて。


ボタボタと落ちては、床に新しいシミを作っていった。