花は野にあるように

「フワフワしてて、すっごく座り心地いいね?
これも山の専用の道具なの?」


ちょっと弾んだ声になって、僕はリョクに聞いた。


「気に入ってもらえたんなら良かった。」


リョクはホッとしたようにそう言って、心配顔を緩ませる。


「んん。
専門用具じゃあないんだ。
近くの雑貨屋で売っていたエアーマットだけど、空気抜けば小さくなるし、軽くて邪魔にならないし、空気の層には断熱とクッションとの両方を期待できるから、な。」


え?


そうなんだ。


「山の道具って専門の物を使わないといけないわけじゃないんだね。」