花は野にあるように

絶対に聞かれたくない、一瞬の妄想を誤魔化すように、僕は慌てて言った。


リョクはふうん？って不思議そうな表情になったけど、僕の首の後ろに掌を差し込んで熱が出ている訳じゃないっていうことを確認して、そのまま話を続けた。


「とりあえず、日が昇れば親父がここまで来てくれるだろうから、今夜は此処で一晩足留めな。
寝袋とかはさすがに持ってきてないから、ちょっと居心地悪いかも知れないけど、なるべくマシな環境を今から整えるな。」


僕の顔を覗き込むようにして、リョクがそう言ってくれる、けど。