嫌な事を忘れようと大好きな中庭に行ったはずなのに、そこで原因の人物に会ってしまった僕は胸の中にモヤモヤしたものを抱えたまま教室へ入った。


ざわめいている教室の中はいつもと変わらず、女の子達の高い声のおしゃべりと、男の子達の低い談笑の声が入り交じりながら流れていた。


「あー。ミキちゃん、おはよー。」


クラス委員の小林さんが、僕を見つけて声を掛けてくれる。


友達が少ない僕には、多分ありがたい存在なんだと思うんだけど………ミキちゃんって呼ぶのは止めてくれないかなぁ?


いつもと同じように、心の中で呟くと僕は小さい声で挨拶を返した。


「あ………オハヨ………。」