リョクの背中に回されている僕の腕が、リョクの動きをさまたげたりしないように。


でも、出来るだけぴったりと。


リョクの身体にしがみつきながら、僕は心の中だけでリョクに話しかけていた。


だって、ホントに話しかけて一生懸命に登ってくれているリョクの集中力を削いでしまったりしたくなかったんだ。


だけど、心の中では大声で力一杯応援していたよ。


リョク、頑張って!


って。


ずうっとね。


だって、リョクから伝わってくる真剣な雰囲気は、僕に痛いぐらい伝わってきていたんだから。