花は野にあるように

だけどそんな気分で居られたのは、ほんの短い間だけだった。


だって、リョクは荷物の側。


つまり崖の上から垂らされているロープの真下まで僕を運ぶと、そのロープで僕の身体を縛り始めたんだ。


「リ………リョク?」


さすがに膨れたままな態度じゃいられなくて、僕は少し不安げにリョクの名前を呼んだ。


「ん?
あんまり動かないでくれよな。
ミキを無事に上にあげるためには、この結び目に弛みや緩みがあっちゃ、ダメだからな。」


真面目な表情でリョクに告げられて。


変な想像をしてしまっていた僕は。


赤面した。