花は野にあるように

さっき見たあの光景を思い出しながら、僕は胸の中が暖かくなるような気持ちになっていた。


初めて家族で来たときに、あの景色を見てリョクは何を思ったんだろう。


その時の今より小さかったリョクは、どんな事を感じたのかな。


今じゃなくてもいいんだけど、いつか。


ゆっくりとそんな事をリョクに聞いてみたいな。


なんて事を考えながら、僕はリョクに見守られつつ。


かなり急な斜面を危なっかしい足取りで。


でも一生懸命に登り始めた。