「お。
起きたか?」


目を開けた僕の視線のすぐさきに、柔らかく微笑んだリョクの顔があった。


「あ。
おはよ。
…って。僕、そんなに本気で寝ちゃってた?
え?
あれからどれぐらい経っちゃったの?」


すっかり寝込んでしまっていたらしい僕は、ちょっと慌ててリョクに聞いた。


「ん?
そんなには経ってないけどな、でもそろそろ上に行って帰る用意始めないか?
バスや電車の時間もあるしな。」


そう言いながら、リョクが僕のほとんど荷物の入っていない小さなリュックを差し出してくれる。