「………ミキ?」


遠くから聞こえる声が、僕の名前を呼んでいる。


その声は、誰よりも安心できて。


誰よりも頼りになって。


誰よりも大好きな………。


「………リョク?」


水底に沈んでいた魚が、ほわりと水面に浮かんでくるみたいに、眠りの世界の中に取り込まれていた僕の意識がゆっくりと浮かび上がりながら覚醒する。


僕の名前を呼んでくれている大好きな声の主の名前を呟き、僕は目をこすりながら起き上がった。