花は野にあるように

ごにょ、と語尾が消えるような僕の発言に、リョクはククッと小さく笑うと、もう片方の手を地面に付いて更に身体を乗り出してきた。


そして、僕の顔を引き寄せると頬へやさしいキスを落としてくれた。


「………美味い弁当への礼と、たくさん食べられてえらかったぞ、のねぎらいを込めて、な。
これなら、子供っぽくないよな。」


なだめるようなその口調は、僕をあやしているかのような感じなんだけど。


不思議な事に僕の胸の中で生まれていた不機嫌の元みたいなものは、そのキスで跡形もなく霧散してしまった。