花は野にあるように

僕がそう言いながら立ち上がろうとするのを、リョクはいいんだ、って言って止めた。


「俺は木にもたれている方が、いいんだ。
そっちに座って、ゆっくりしてろよ。」


優しい笑顔で笑いながらリョクはそう言って、どっかりとそこに座り込むと、僕が何かを言いだす前に、腕を伸ばして、ひょい、と唐揚げをつまみ上げて口に放り込んだ。


「あっ!
お行儀が悪いよっ!
おはしもあるんだから、手で食べちゃダメだよっ!」


僕が慌てて割り箸を差し出したけど、リョクは悪戯な笑みを浮かべたまま、手で食べ続ける。