花は野にあるように

あっと言う間に口の中から消えてしまった楽園の味を求めて、僕は思わずチョコをつまんでいたリョクの指を口に含んでいた。


そこに付いていたほんの少しのチョコレートまでをも食べたくて、吸い付いてしまう。



「………んなに気に入ったんなら、もいっこ食うか?」


少しかすれたような声でリョクが僕にそう言うまで。


夢中でリョクの指を舐めていた僕は、リョクの言葉でハッとした。



う、嘘っ!



ぼ、僕ったらなんて事をっ!




自分が信じられないよっ!