「ほら、口開けろよ。」


僕の鼻の先で、いい薫りを放っているチョコレートを揺らしながら、リョクが言うけど。


そんな、恥ずかしいよ。


食べさせてもらうなんて。


「ほら、早くしないと溶けちまうぞ?
ミキ、チョコ好きだろ?
オフクロがベルギーの会議のついでに買ってきてくれたんだけど、すっげぇ美味いんだぜ?」


食べないのか?


って言うリョクの言葉と、僕の知ってるチョコとは比べものにならないぐらいに、すっごくいい薫りを放っているリョクの指にはさまれたチョコレートの魅力に。


僕は誘惑された。