小川の先からは、少し急な登りが続いていた。


さっき、川を渡ったときに濡れてしまった僕の靴は何度も何度も滑ってしまって、そのたびにリョクが手を引いてくれる。


あんまり何度も転びそうになる僕の為にリョクが。


「少し、休もうか。」


優しい口調で声を掛けてくれた。


リョクはちっとも疲れてなんていないんだろうに。


「久しぶりの山だからなぁ。
俺も疲れたよ。
やっぱり、身体がなまってるよなぁ。」


どっかりと道端に座り込みながら、リョクがそんな風に言ってくれるのって、僕が落ち込んだりしないようにだよね?